キミと歌う恋の歌
持って生まれた上の子供たちと同じように、いやそれ以上に両親は私に期待した。


幼い頃は、毎日習いごとに通わさせられた。


今考えてみると、まだ喋り始めたばかりの子どもとは思えない分単位の多忙なスケジュールだった。



私も兄や姉と同じように何か特別なものを持っていると両親は信じて疑わなかった。


だが、二度あることは三度あるわけではなかったらしい。


神様は無情にも私には何にも与えなかった。


三兄妹の中では最も平凡な顔つき


小学校に上がっても漢字も九九も楽に覚えられず、100点なんてとった試しがない。

運動も全くできず、運動会では迷惑をかける側の人間だった。

せめて人当たりが良ければいいものの、人見知りが激しくて、うまく会話をすることもできない。


何十個の習いごとをしても、それなりの結果を得られたものは1つもなかった。


私は才能を持っているどころか、平均にも満たない落ちこぼれだった。


小学生3年生頃だっただろうか。
父と母は私と口を聞くことを辞めた。
習い事も全て行かなくなり、テスト結果を見せろと強制されることもなくなった。


物置に私を追いやって、食事はもっぱら残飯のみ。
< 13 / 152 >

この作品をシェア

pagetop