キミと歌う恋の歌
ほかのみんなと合流してから、ショッピングモールの中のフードコートで夜ご飯を食べ、帰路につくことになった。
バスがまだ来ないことと、食べすぎたこともあり、次のバス停まで歩こうとレオが言い出して夜道を並んで歩いた。
主に私の大荷物を抱えてもらっていたので、なんだか申し訳なかった。
「明日からまた授業だ〜嫌だな」
メルが口を尖らせて言った。
「しばらくしたらテストだなーそろそろ勉強始めないと」
「わーんタカちゃんやなこと思い出させないでよ。ソウジ今回も教えなさいよね」
「なんでお前はそんな偉そうなんだよ」
「そうだぞメル。ちゃんと頼みなさい」
「アイは勉強どうなの?」
レオに突然話を振られて、ドキッと肩を震わせる。
「えっ、あ、恥ずかしながら、全くできなくて」
頭をかきながら、正直にそう答えると、レオは「そうかー」と返事をした後で、ソウジを指差して「まあソウジに教えて貰えば絶対大丈夫だよ」と言った。
指さされたソウジは面倒くさそうにちらりとこっちに目を向ける。
ソウジはいつもテストで学年一位だ。
私なんてこれまでやることと言ったら勉強くらいだったのに、それでも下から数えたほうが早い悲惨な点数しか取れない。
バイトもやって勉強もベースも完璧だなんて本当にすごい。
「あ、私もお、教えてもらってもいいのかな」
「…別にいいけど」
隣を歩いていたソウジに勇気を出して聞いてみると、ソウジはこっちを見ることなく軽く頷いた。
嬉しくて、つい頬を緩ませていると、
「な、なんか、アイとソウジ雰囲気違くない?敬語じゃないし」
どうして気づくのかわからないけど、メルが顔を引き攣らせて私とソウジの顔を見比べている。
どう答えるべきかわからなくて、私も黙ったまま2人の顔を遠慮がちに見ていると、ソウジがふっと意地悪な笑顔を浮かべてメルの額を軽く小突いた。
「さーな。お前には教えねえ」
「な、!ちょ!ねえ、アイどういうこと?!私の知らないところであいつと何があったの?!」
興奮して詰め寄るメルに、面白そうに笑い声を上げるソウジに、キョトンとした顔でこっちを見ているレオとタカさん。
「な、何があったって言われても、」
メルの熱量に押されて後退りする私の様子に、レオとタカさんまでつられたように笑い出し、私たち以外誰もいない夜道に笑い声が響く。
4人が歩いていく後ろで、ふいに1人足を止めて、満点の星空を見上げた。
冷たい風が吹いて、首をすくめる。
非日常はとりあえず今日で一旦終わった。
明日からは日常をまた生きていくのだ。
だけどそれはこれまでのような希望一つない無気力な日々ではない。
数メートル先で私がいないことに気づいた彼らが私の名前を呼んで大きく手を振る。
大きく返事をして、勢いよく走り出す。
私がこれから生きるのは、彼らが隣にいてくれる、私だけの新たな人生だ。
バスがまだ来ないことと、食べすぎたこともあり、次のバス停まで歩こうとレオが言い出して夜道を並んで歩いた。
主に私の大荷物を抱えてもらっていたので、なんだか申し訳なかった。
「明日からまた授業だ〜嫌だな」
メルが口を尖らせて言った。
「しばらくしたらテストだなーそろそろ勉強始めないと」
「わーんタカちゃんやなこと思い出させないでよ。ソウジ今回も教えなさいよね」
「なんでお前はそんな偉そうなんだよ」
「そうだぞメル。ちゃんと頼みなさい」
「アイは勉強どうなの?」
レオに突然話を振られて、ドキッと肩を震わせる。
「えっ、あ、恥ずかしながら、全くできなくて」
頭をかきながら、正直にそう答えると、レオは「そうかー」と返事をした後で、ソウジを指差して「まあソウジに教えて貰えば絶対大丈夫だよ」と言った。
指さされたソウジは面倒くさそうにちらりとこっちに目を向ける。
ソウジはいつもテストで学年一位だ。
私なんてこれまでやることと言ったら勉強くらいだったのに、それでも下から数えたほうが早い悲惨な点数しか取れない。
バイトもやって勉強もベースも完璧だなんて本当にすごい。
「あ、私もお、教えてもらってもいいのかな」
「…別にいいけど」
隣を歩いていたソウジに勇気を出して聞いてみると、ソウジはこっちを見ることなく軽く頷いた。
嬉しくて、つい頬を緩ませていると、
「な、なんか、アイとソウジ雰囲気違くない?敬語じゃないし」
どうして気づくのかわからないけど、メルが顔を引き攣らせて私とソウジの顔を見比べている。
どう答えるべきかわからなくて、私も黙ったまま2人の顔を遠慮がちに見ていると、ソウジがふっと意地悪な笑顔を浮かべてメルの額を軽く小突いた。
「さーな。お前には教えねえ」
「な、!ちょ!ねえ、アイどういうこと?!私の知らないところであいつと何があったの?!」
興奮して詰め寄るメルに、面白そうに笑い声を上げるソウジに、キョトンとした顔でこっちを見ているレオとタカさん。
「な、何があったって言われても、」
メルの熱量に押されて後退りする私の様子に、レオとタカさんまでつられたように笑い出し、私たち以外誰もいない夜道に笑い声が響く。
4人が歩いていく後ろで、ふいに1人足を止めて、満点の星空を見上げた。
冷たい風が吹いて、首をすくめる。
非日常はとりあえず今日で一旦終わった。
明日からは日常をまた生きていくのだ。
だけどそれはこれまでのような希望一つない無気力な日々ではない。
数メートル先で私がいないことに気づいた彼らが私の名前を呼んで大きく手を振る。
大きく返事をして、勢いよく走り出す。
私がこれから生きるのは、彼らが隣にいてくれる、私だけの新たな人生だ。