キミと歌う恋の歌
そんな両親の姿を見た兄と姉は私の正しい扱い方をすぐに察知した。

兄は私をいないもののように扱った。

どれだけ記憶を辿っても、兄と言葉を交わした記憶がない。

姉は私を奴隷のように扱った。

幼い頃から子役として大人の世界で生きていた姉は妹の私から見ても精神状態が不安定だった。
それまでニコニコしていたのに突然風船が割れたように癇癪を起こし、暴れ回るのだ。

そんな状態の姉のむしゃくしゃの行き場が私だった。殴り、罵り、虐げて、ストレスの全てを私に当てた。


私はこの家の欠陥だった。
子ども2人でやめておけばよかったのに欲張って3人目を儲けたばかりに、要らぬ食いぶちを増やしてしまったのだ。


「産まなきゃよかった」と母は何度言っただろう。父は直接言葉にしたことはなかったが、私を見る目が物語っていた。


幼い頃は何度も神様を恨んだ。
か細い奇跡に縋って必死で努力もした。

だけど現実は今もこうだ。
何も変わらない。

私は華麗なる戸田一族を側で引き立てるためにこの世に生まれた存在なのかもしれない。





< 14 / 152 >

この作品をシェア

pagetop