キミと歌う恋の歌
私は人より可愛い。
物心ついた時にはそれが理解できていた。
家族からはもちろん、幼稚園の先生、友達の家族、街を歩いている見知らぬ人からも口々にその言葉をかけられた。
幼稚園では男の子達にいつも囲まれて、劇のヒロインは立候補するまでもなく私に決まった。
女の子たちからはすでに嫉妬の対象だった。
私は可愛い。
これだけ聞けば傲慢のように思えるけど、私にとっては息をするのと同じくらい当然の話だったのだ。
大人や男の子達にチヤホヤされるのには慣れっこだったし、嫉妬されるのだって気にもしていなかった。
私が右を選べば、周りも同じく右を選び、やっぱり左にすると我儘を言ったとて当然のように頷いてくれる周囲が面白くて、愉快だった。
紛れもなく頂点に立っている自分自身の立場に満足していたし、まるで女王のように周りの男の子達を小間使いのように扱っていた。
私はその頃、何よりも私のことが好きだった。
だけど、小学校に上がってすぐの頃、
突然自分が孤独に思えた。
幼稚園よりも人数が増えた小学校でも私はすぐにまたピラミッドの頂点に君臨した。
だけど、私は気づいてしまった。
裸の王様にすぎないことを。
男の子達に煽てられてそれを間に受けて、偉そうに振る舞っていたが、それは友情ではもちろんなく、容姿が整っていることだけで成立している上下関係だけだ。
他の生徒のように昼休みを一緒に過ごす相手や、休みの日に約束をして会えるような相手は1人もいなかった。
私には友達なんて1人もいなかった。
その頃憧れた少女漫画やアニメの主人公には必ず心から信用できて、なんでも打ち明けられる親友がいた。
服や文房具を揃えてみたり、敵ばかりの状況でも必ず味方でいてくれる、そんな唯一無二の関係、誰もがひれ伏す優れた容姿よりも私はそれに憧れた。
教室で1人座って遠巻きに見られる中、どうしたら私にもそんな友達ができるのだろうかと考えた。
すでにクラスの女子達はグループができていて、強固な絆で繋がっていた。
そこに入っていくのは勇気が必要だった。
それでも私は背に腹を変えることはできなかった。
勇気を出して話しかけた。
だけど、その先に望んでいた未来はなかった。
初めは割と好意的に受け入れられるのだ。
"可愛い"というのは正義であり、最も強い武器である。
初めから無碍にされることはそうそうない。
問題は関係が少し深くなってからだ。
必ずと言って女子の中で繰り広げられる恋の話。
私はその頃、若干6歳ながら、男子とは言うことをなんでも聞いてくれる操り人形のようなものだと本気で思っていて、それを好きになる感情なんか持てるはずもなかった。
だから、もちろん恋の話になれば、興味が一切ないながらも頷いて、応援するなと笑顔を見せるだけだった。
しかし、
"可愛い"とは武器の中でも爆発力の強い火薬だ。
登場したくもない恋愛事情に私は勝手に悪役として押し出される。
主人公のライバルだ。
みんなに応援してもらえる主人公、そしてそれに対して誰からも応援されない悪役ライバル。
私に与えられた役目はいつも主人公ではなかった。
望んでもないのに、友達の想い人は私を好きになり、空気も読まずにそのことを表に出す。
友達だと思っていた子達はあっさりと私を悪役認定して反旗を翻す。
私と相対することで彼女達は結束力を固めていく。
そして私はただただ孤立を深めていく。
小学生三年生になるまでに私はそれを6回ほど繰り返し、その頃には私は学年中の女子の嫌われ者となっていた。
物心ついた時にはそれが理解できていた。
家族からはもちろん、幼稚園の先生、友達の家族、街を歩いている見知らぬ人からも口々にその言葉をかけられた。
幼稚園では男の子達にいつも囲まれて、劇のヒロインは立候補するまでもなく私に決まった。
女の子たちからはすでに嫉妬の対象だった。
私は可愛い。
これだけ聞けば傲慢のように思えるけど、私にとっては息をするのと同じくらい当然の話だったのだ。
大人や男の子達にチヤホヤされるのには慣れっこだったし、嫉妬されるのだって気にもしていなかった。
私が右を選べば、周りも同じく右を選び、やっぱり左にすると我儘を言ったとて当然のように頷いてくれる周囲が面白くて、愉快だった。
紛れもなく頂点に立っている自分自身の立場に満足していたし、まるで女王のように周りの男の子達を小間使いのように扱っていた。
私はその頃、何よりも私のことが好きだった。
だけど、小学校に上がってすぐの頃、
突然自分が孤独に思えた。
幼稚園よりも人数が増えた小学校でも私はすぐにまたピラミッドの頂点に君臨した。
だけど、私は気づいてしまった。
裸の王様にすぎないことを。
男の子達に煽てられてそれを間に受けて、偉そうに振る舞っていたが、それは友情ではもちろんなく、容姿が整っていることだけで成立している上下関係だけだ。
他の生徒のように昼休みを一緒に過ごす相手や、休みの日に約束をして会えるような相手は1人もいなかった。
私には友達なんて1人もいなかった。
その頃憧れた少女漫画やアニメの主人公には必ず心から信用できて、なんでも打ち明けられる親友がいた。
服や文房具を揃えてみたり、敵ばかりの状況でも必ず味方でいてくれる、そんな唯一無二の関係、誰もがひれ伏す優れた容姿よりも私はそれに憧れた。
教室で1人座って遠巻きに見られる中、どうしたら私にもそんな友達ができるのだろうかと考えた。
すでにクラスの女子達はグループができていて、強固な絆で繋がっていた。
そこに入っていくのは勇気が必要だった。
それでも私は背に腹を変えることはできなかった。
勇気を出して話しかけた。
だけど、その先に望んでいた未来はなかった。
初めは割と好意的に受け入れられるのだ。
"可愛い"というのは正義であり、最も強い武器である。
初めから無碍にされることはそうそうない。
問題は関係が少し深くなってからだ。
必ずと言って女子の中で繰り広げられる恋の話。
私はその頃、若干6歳ながら、男子とは言うことをなんでも聞いてくれる操り人形のようなものだと本気で思っていて、それを好きになる感情なんか持てるはずもなかった。
だから、もちろん恋の話になれば、興味が一切ないながらも頷いて、応援するなと笑顔を見せるだけだった。
しかし、
"可愛い"とは武器の中でも爆発力の強い火薬だ。
登場したくもない恋愛事情に私は勝手に悪役として押し出される。
主人公のライバルだ。
みんなに応援してもらえる主人公、そしてそれに対して誰からも応援されない悪役ライバル。
私に与えられた役目はいつも主人公ではなかった。
望んでもないのに、友達の想い人は私を好きになり、空気も読まずにそのことを表に出す。
友達だと思っていた子達はあっさりと私を悪役認定して反旗を翻す。
私と相対することで彼女達は結束力を固めていく。
そして私はただただ孤立を深めていく。
小学生三年生になるまでに私はそれを6回ほど繰り返し、その頃には私は学年中の女子の嫌われ者となっていた。