キミと歌う恋の歌
自分の教室に着いたら、バッグから荷物を取り出して机の中に入れて準備を終える。



座って、机の中に入れてある本を取り出して広げる。


私はいつだって本を読んでる。



休み時間も、昼休みも、朝も、手持ち無沙汰になったら、衝動的に本を取り出す。



小学校の時も中学校の時もそうだった。



ちなみに小学校の時は6年間で全蔵書読破をやり遂げた。



そのせいで全校集会で前に呼ばれて校長先生に紹介されたが、顔から火が出るほど恥ずかしかった。



馬鹿みたいに毎日本を借りに行ったことを後悔して止まなかった。



普通の人からしたらわからないかもしれないが、校長先生が良かれと思ってしたのであろうその行動は私が孤独であることを全校に知らしめるようなものなのだ。



孤独な学生と本は大昔から固い絆で結ばれている。



休み時間に本を読むなど、私話す友達がいないんですと大衆にアピールしているようなものだし。



実際、校長先生が意気揚々と私の果たした前代未聞の出来事を話している間、前の生徒たちはつまらなさそうに隣の友達なんかと顔を見合わせてこそこそ話していた。



本は好きだし、特に自分じゃない誰かの世界に入り込ませてくれる物語モノは孤独な現実から救い出してくれる。



でも読まなくていいのならそれでいいのだ。



休み時間の度にしょうもない話で笑いあえる友達がいたのなら私は全蔵書読破なんて偉業はやり遂げられなかったはず。



結局は仕方なく、または無意識のうちの防衛機能が働いて、私は今日も本を開くのだ。




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