キミと歌う恋の歌
昨日の昼休みに学校の図書室で借りたばかりの本はすでに50ページほど読み終わっていて、栞を挟んでいたところから読み出す。



今回の本は文庫版でさして厚くはないものだ。



既に他界しているその本の作者は国語のテストにも出てくる有名な文豪で、いくら本を読まない人でもその人の代表作ぐらいは知っているはず。



今回はその人の作品の中でも割とマイナーなものを選んだ。



いつから図書室に置いてあるのかと疑いたくなるほどにその本は劣化していた。



昔は白かったのだろうか、茶色く変色してページをめくる度にバリバリと音を発する紙にはところどころ汚れが目立つ。



文章の表記も今のようなものではなく、言葉遣いもわかりにくいものが多々ある。



内容というのも、暗いの一言だ。



この本の作者は自殺で亡くなったらしいが、そうだろうなあとなんだか納得してしまう。



でもどこまでも暗くハッピーエンドの気配など全くないその本はまるで私の人生のようだ。



淡々と進み続けるこの本のように、私の人生も淡々と過ぎて行くんだろうな。



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