キミと歌う恋の歌
半分まで読み進めたところで、集中力が途切れて一旦栞を挟んで本を閉じた。


気づけば、教室にはクラスメイトの半分以上が登校していた。


しばらくクラスメイトたちが談笑している様子をぼーっと眺めていたが、トイレに行こうと席を立った。


次々と登校してくる生徒たちの流れに逆らって、トイレに入ると珍しくがらんとしていて、すぐに用は済んだ。



生ぬるい水で手を洗い、少し汚れた鏡の中に見える自分に視線を移す。



分厚い眼鏡は小学生の時から使っているものでネジが緩んで気を抜けばすぐにズレるし、



トリートメントなんて使ったことない痛み切った髪はまとめて結んだところでどうしようもなく汚らしく見える。



生きるのに疲れた人間のようだ。



不器用な私が頑張ってカットした前髪は不揃いでガタガタで貧乏くさい。


無条件でキラキラと輝いて見える女子高生たちの中で私は1人浮いている。


そんなことにコンプレックスを抱いて縮こまるのにももう慣れた。

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