キミと歌う恋の歌
教室に入ると、一番手前の席に人だかりができていた。


人というのも、全てが女子で、全方向から女子に包囲されたその机はもはや中心の人物が見えない状態だ。


別に驚く光景ではない。



中心に座っているのは津神くんだ。
さっきの一悶着の最中に1人教室に行っていたみたいだ。



同じクラスにこれといって親しい人がいないと思われる彼はいつも1人



になりたそうなんだけど、そうもいかない。


上野くんや市川さん以外と絡もうとしない彼は教室の中では徹して1人の世界に閉じこもろうとしている。

それでも彼のファンたちは凝りもせず毎日彼を囲んでいる。



話しかけたところで一切返事はなく、それどころか彼女たちが見えていないような振る舞いなのに。



彼女たちの熱い熱量と岩石のようなメンタルには脱帽する。



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