キミと歌う恋の歌
昼休みを終えた後も、結局その日は1日中上の空のまま終わってしまった。
そのせいで何度か先生に当てられて答えられず、嫌味をネチネチと言われたけど、気にすることもなかった。
そして放課後、私は職員室の前で教頭先生を探していた。
とても自分1人じゃ抱えられる問題じゃなかった。誰かに聞いて欲しかった。
そんな時、思いつくのは教頭先生か翔太さんくらいだった。
結局教頭先生に決めたのは、単にとにかく早く相談したいという思いからだけだ。
とは決めたものの、なかなか教頭先生が見つからない。
あまり訪れたことのない職員室の入り口でウロウロ、キョロキョロを繰り返しているが教頭先生の姿は見当たらず、入り口を通る先生たちに嫌な目に見られるだけだ。
邪魔と呟かれたり、静かに舌打ちをされるのが続けば、気持ちもだんだん萎んでいく。
そんな所に待ち遠しにしていた優しい声が後ろから聞こえた。
「あれ、戸田さん?」
勢いよく振り向くと、大きなダンボール箱を抱えた教頭先生がいた。
「あ、あの、ちょっと聞いてもらいたいことが」
手をさすりながら遠慮げにそう言うと、教頭先生は微笑んで頷いてくれた。
「相談室が空いてたな。そこでいいですか?」
そう問われ、すぐに頷いた。
そんな場所を用意してもらえるなんて思ってなかった。
ダンボール箱を自分の机に置いて相談室の鍵を持って職員室から出てきた教頭先生の後ろについていくと、職員室から少し離れた小さな部屋に入った。
そこは小さな机と椅子が2つしかない、こじんまりとした部屋だった。
奥の椅子に教頭先生が座り、私は手前の椅子に座った。
そして、手を机の上に乗せその指を絡ませて、前傾姿勢になった教頭先生が私に問いかけてくれた。
「どうしたんですか?」
その目はしっかり私に向けられていて、なんとなく心を探られているような気分ななった。
「実は、」
そう切り出すと、堰き止めていた水が一気に溢れ出すように昨日、今日の出来事が次から次に言葉となって口から出てきた。
そして昼休みのことまで伝えきって、どう続ければいいかわからず黙りこくっていると、それまで何も言わずに聞いていてくれた教頭先生がゆっくりと話し出した。
「内容はよくわかりました。ところで、戸田さんはどうしたいと思っているんですか?
戸田さんの気持ちを教えてください」
私の気持ち…
さっきまでさらさらと流れるように喋っていたのが嘘のように言葉に詰まってしまった。
事実を伝えるのは簡単だけど、自分の気持ちを言葉にするのはすごく難しい。
もう長い間、自分がどう思っているかとか、どうしたいかなんて口にしてなかったから。
だけど何とか言葉を絞り出した。
「やってみたいってたぶん思ってはいるんです。
もう1人でいるのは嫌だから。
だけど、怖いんです。
私は本当につまらなくて何もできない自信のかけらもない人間だから。
あんな風に期待されて何も返せなかったらどうすればいいんでしょうか。
あんな、キラキラしていて自信に満ち溢れている彼らの横にこんな私が立って本当にいいんでしょうか。
足を引っ張るだけの存在にしかなれないんじゃないかってそればかり考えてしまうんです」
一生懸命言葉を紡ぎながら、ああ私はこう思っていたんだと自分のことながら納得した。
教頭先生はというと、穏やかな瞳で私を見つめていた。
そのせいで何度か先生に当てられて答えられず、嫌味をネチネチと言われたけど、気にすることもなかった。
そして放課後、私は職員室の前で教頭先生を探していた。
とても自分1人じゃ抱えられる問題じゃなかった。誰かに聞いて欲しかった。
そんな時、思いつくのは教頭先生か翔太さんくらいだった。
結局教頭先生に決めたのは、単にとにかく早く相談したいという思いからだけだ。
とは決めたものの、なかなか教頭先生が見つからない。
あまり訪れたことのない職員室の入り口でウロウロ、キョロキョロを繰り返しているが教頭先生の姿は見当たらず、入り口を通る先生たちに嫌な目に見られるだけだ。
邪魔と呟かれたり、静かに舌打ちをされるのが続けば、気持ちもだんだん萎んでいく。
そんな所に待ち遠しにしていた優しい声が後ろから聞こえた。
「あれ、戸田さん?」
勢いよく振り向くと、大きなダンボール箱を抱えた教頭先生がいた。
「あ、あの、ちょっと聞いてもらいたいことが」
手をさすりながら遠慮げにそう言うと、教頭先生は微笑んで頷いてくれた。
「相談室が空いてたな。そこでいいですか?」
そう問われ、すぐに頷いた。
そんな場所を用意してもらえるなんて思ってなかった。
ダンボール箱を自分の机に置いて相談室の鍵を持って職員室から出てきた教頭先生の後ろについていくと、職員室から少し離れた小さな部屋に入った。
そこは小さな机と椅子が2つしかない、こじんまりとした部屋だった。
奥の椅子に教頭先生が座り、私は手前の椅子に座った。
そして、手を机の上に乗せその指を絡ませて、前傾姿勢になった教頭先生が私に問いかけてくれた。
「どうしたんですか?」
その目はしっかり私に向けられていて、なんとなく心を探られているような気分ななった。
「実は、」
そう切り出すと、堰き止めていた水が一気に溢れ出すように昨日、今日の出来事が次から次に言葉となって口から出てきた。
そして昼休みのことまで伝えきって、どう続ければいいかわからず黙りこくっていると、それまで何も言わずに聞いていてくれた教頭先生がゆっくりと話し出した。
「内容はよくわかりました。ところで、戸田さんはどうしたいと思っているんですか?
戸田さんの気持ちを教えてください」
私の気持ち…
さっきまでさらさらと流れるように喋っていたのが嘘のように言葉に詰まってしまった。
事実を伝えるのは簡単だけど、自分の気持ちを言葉にするのはすごく難しい。
もう長い間、自分がどう思っているかとか、どうしたいかなんて口にしてなかったから。
だけど何とか言葉を絞り出した。
「やってみたいってたぶん思ってはいるんです。
もう1人でいるのは嫌だから。
だけど、怖いんです。
私は本当につまらなくて何もできない自信のかけらもない人間だから。
あんな風に期待されて何も返せなかったらどうすればいいんでしょうか。
あんな、キラキラしていて自信に満ち溢れている彼らの横にこんな私が立って本当にいいんでしょうか。
足を引っ張るだけの存在にしかなれないんじゃないかってそればかり考えてしまうんです」
一生懸命言葉を紡ぎながら、ああ私はこう思っていたんだと自分のことながら納得した。
教頭先生はというと、穏やかな瞳で私を見つめていた。