キミと歌う恋の歌
そんな私の様子に気づいてくれたのは、やっぱりタカさんだった。
「あーあー、怖がらせんじゃねえよ」
私と上野くんの間に割って入って止めてくれた。
でもダメだ。
こうやって、フォローされてるだけじゃさらに津神くんに呆れられて、上野くんにだって失望されるかもしれない。
ここにいるみんなは自分の足でしっかり立ってる。
「やります。私やりたいです。死ぬ気でやります。絶対成功させます。お願いしますやらせてください」
私の急な宣言にみんな一時びっくりしたみたいだけど、少しした後、上野くんは目を細めて笑ってくれた。
「いいじゃん、アイ。よく言った」
そうだ、私は覚悟を決めたんだから、何も迷うことはない。
「じゃあ、私、これがいい」
それまで黙ってCDを眺めていた市川さんが手を挙げて一つのジャケットを見せた。
私はその曲を聞いたことはないけど、どうやらバラードみたいだ。
「いいじゃん、単調だけど、万人受けするし。オッケー」
そんな流れでもう一曲も決まり、残すはオリジナル曲をどうするかという話になった。
「歌詞なしの曲ならいくらでもあるぞ、ほら」
上野くんがスマホを掲げてそう切り出した。
画面を見ると、表示されていたのは全て音源みたいだ。
いったい何曲あるんだろう。
その数に圧倒される。
「そんなのわかってるよ。問題は歌詞をどうするかってことでしょ」
「メルお前ちょっと作ってこいよ。ポエムとか好きだろ。よく見てたじゃん」
「いつの話してんのよ、もう見てないし」
「そんな恥ずかしがることでもないだろ」
「恥ずかしがってないし、私には絶対無理!歌詞なんて考えたこともない!」
「じゃあどうするんだよ。タカ…は無理だな。絶対」
ばっさりと言い切った上野くんに、タカさんが慌てて反論した。
「おい!確かに無理だけど、レオに言われたくはねえわ!ソウジは?」
「パス」
「だよなあ、じゃあアイ!お前は?てかこの前ここで歌ってたのあれお前のオリジナルだよな?てかもしかして作曲もできる?」
きっと流れで私にもくるんだろうと思ってはいたけど、あの適当ソングをやはり覚えられていたかと頭を抱える。
…
4人にじっと注目されて、早く何か言わなきゃって急かされている気分になる。
「…私、あの」
言い澱みながら、みんなの表情を見ると、もうすっかり呆れられているんじゃないかと飽きもせずまた不安になる。
ああ、情けないな私。
「その…」
はっきり言え私。
言いたいことちゃんと言って。
「どうした?アイ」
ほら、少なくとも上野くんは絶対聞いてくれる。
面倒くさがらず待っていてくれる。
認めて欲しいなら自分から歩み寄らなきゃ。
「この前歌ってたのは確かに私のオリジナルです。でも毎回メロディーは適当で、作曲なんて絶対無理です。でも、その、作詞は…やってみたい。
自信はないです。でも挑戦できるなら、やってみたい、です」
息継ぎもせず言い切ったせいで頭がぐわんぐわんと重く揺れる。
ふと頭の上にふわっと大きな手を乗せられた気がした。
上野くんが笑ってくれる。
「おう、アイに頼んだ」
心が軽くなる。
大きく振りかぶってうなずいて見せた。
「あーあー、怖がらせんじゃねえよ」
私と上野くんの間に割って入って止めてくれた。
でもダメだ。
こうやって、フォローされてるだけじゃさらに津神くんに呆れられて、上野くんにだって失望されるかもしれない。
ここにいるみんなは自分の足でしっかり立ってる。
「やります。私やりたいです。死ぬ気でやります。絶対成功させます。お願いしますやらせてください」
私の急な宣言にみんな一時びっくりしたみたいだけど、少しした後、上野くんは目を細めて笑ってくれた。
「いいじゃん、アイ。よく言った」
そうだ、私は覚悟を決めたんだから、何も迷うことはない。
「じゃあ、私、これがいい」
それまで黙ってCDを眺めていた市川さんが手を挙げて一つのジャケットを見せた。
私はその曲を聞いたことはないけど、どうやらバラードみたいだ。
「いいじゃん、単調だけど、万人受けするし。オッケー」
そんな流れでもう一曲も決まり、残すはオリジナル曲をどうするかという話になった。
「歌詞なしの曲ならいくらでもあるぞ、ほら」
上野くんがスマホを掲げてそう切り出した。
画面を見ると、表示されていたのは全て音源みたいだ。
いったい何曲あるんだろう。
その数に圧倒される。
「そんなのわかってるよ。問題は歌詞をどうするかってことでしょ」
「メルお前ちょっと作ってこいよ。ポエムとか好きだろ。よく見てたじゃん」
「いつの話してんのよ、もう見てないし」
「そんな恥ずかしがることでもないだろ」
「恥ずかしがってないし、私には絶対無理!歌詞なんて考えたこともない!」
「じゃあどうするんだよ。タカ…は無理だな。絶対」
ばっさりと言い切った上野くんに、タカさんが慌てて反論した。
「おい!確かに無理だけど、レオに言われたくはねえわ!ソウジは?」
「パス」
「だよなあ、じゃあアイ!お前は?てかこの前ここで歌ってたのあれお前のオリジナルだよな?てかもしかして作曲もできる?」
きっと流れで私にもくるんだろうと思ってはいたけど、あの適当ソングをやはり覚えられていたかと頭を抱える。
…
4人にじっと注目されて、早く何か言わなきゃって急かされている気分になる。
「…私、あの」
言い澱みながら、みんなの表情を見ると、もうすっかり呆れられているんじゃないかと飽きもせずまた不安になる。
ああ、情けないな私。
「その…」
はっきり言え私。
言いたいことちゃんと言って。
「どうした?アイ」
ほら、少なくとも上野くんは絶対聞いてくれる。
面倒くさがらず待っていてくれる。
認めて欲しいなら自分から歩み寄らなきゃ。
「この前歌ってたのは確かに私のオリジナルです。でも毎回メロディーは適当で、作曲なんて絶対無理です。でも、その、作詞は…やってみたい。
自信はないです。でも挑戦できるなら、やってみたい、です」
息継ぎもせず言い切ったせいで頭がぐわんぐわんと重く揺れる。
ふと頭の上にふわっと大きな手を乗せられた気がした。
上野くんが笑ってくれる。
「おう、アイに頼んだ」
心が軽くなる。
大きく振りかぶってうなずいて見せた。