キミと歌う恋の歌
「よし、じゃあお前ら練習しとけ。俺とアイはオリジナル考えるから」
バンド名がとりあえず決まると、上野くんが段取りよくみんなに指示を出した。
昼休みも半分が終わってしまった。
テンポよく進めないと、どんどん置いてけぼりにされてしまう。
恥ずかしがってる暇はない。
もう一枚裏紙を取り出して、上野くんに手渡した。
「あの、これ歌詞です。だ、ダメだったら言ってください!気にしないんで!」
「ああ、大丈夫。俺遠慮しないから」
上野くんはバサリとそう答えると、もう私を見てなくて真剣な瞳を私の書いた歌詞に落としていた。
自分で作った物を人に見られるってすごく緊張する。
まるで、裸の自分を正面から見つめられるような、そんなイメージ。
上野くんを見て、幻滅したような表情を見てしまったら悲しくなるから他の3人に視線を向けた。
すると、3人はそれぞれ別の場所でイヤフォンをつけたまま、楽譜をじっと見つめていた。
タカさんはポンポンと軽く膝を叩いてリズムを打ち始めている。
「うううううんん」
急に上野くんが低く唸り出して、ビクッと肩を震わせて向き直る。
ダメだったんだ。気に入らなかったんだ。
頭を抱え込んで、近くに丸まって寝転びたい気分になる。
「あ、の」
「いいじゃん!俺気に入った!」
謝ろうとした私を遮って、上野くんは満面の笑みを浮かべた。
「え…?」
「この歌詞、まだそのまま使うかどうかはわからないけど、俺はこの曲を作りたい」
動揺して、何も言えない。
本当に…?
本当に言ってくれているんだろうか。
「あ、あ、ありがとうございます…っ」
「だーから、敬語はやめろって言ってんじゃん。まあとにかくそういうことだからあとはメロディー作って、ちょこちょこ歌詞も変えて。
やることは多いからな、ついてこいよ」
呆れるように笑いながら上野くんが私の頭を軽く小突いてそう言った。
なんだってやれるよ。
死に物狂いでついていってみせる。
「は、う、うん。着いていき、や、着いていく、ね、です…」
ああ、調子乗ってちょっとでも敬語を卒業しようとか思ったらこうなるんだから。
やっぱり私は敬語が性に合ってるんだ。
「ははっ、ったくお前は歌のことより、他のことを頑張るべきだな」
落ち込む私を、笑い飛ばしてくれる姿に不思議と私も笑いがこみ上げてきて、この人とだったらなんだってできそうだって思ってしまった。
「うし、ちょっとさこれ自分でなんとなくメロディーラインも思い浮かんでるだろ。歌ってみてくれない」
「ええっ」
「え、本当に詩だけ考えるタイプ?」
「い、いや…」
「じゃあ歌って」
「あの、でも正直まだなんとなくでしか…」
「それでいいから」
きっとこれ以上嫌がったら、怒られる。
時間は限られてるんだ。
そもそもここで歌えないようじゃ、バンドだなんて夢のまた夢だ。
覚悟はもうとっくに決めたじゃないか。
ハミング程度の歌声で、歌い始めた。
バンド名がとりあえず決まると、上野くんが段取りよくみんなに指示を出した。
昼休みも半分が終わってしまった。
テンポよく進めないと、どんどん置いてけぼりにされてしまう。
恥ずかしがってる暇はない。
もう一枚裏紙を取り出して、上野くんに手渡した。
「あの、これ歌詞です。だ、ダメだったら言ってください!気にしないんで!」
「ああ、大丈夫。俺遠慮しないから」
上野くんはバサリとそう答えると、もう私を見てなくて真剣な瞳を私の書いた歌詞に落としていた。
自分で作った物を人に見られるってすごく緊張する。
まるで、裸の自分を正面から見つめられるような、そんなイメージ。
上野くんを見て、幻滅したような表情を見てしまったら悲しくなるから他の3人に視線を向けた。
すると、3人はそれぞれ別の場所でイヤフォンをつけたまま、楽譜をじっと見つめていた。
タカさんはポンポンと軽く膝を叩いてリズムを打ち始めている。
「うううううんん」
急に上野くんが低く唸り出して、ビクッと肩を震わせて向き直る。
ダメだったんだ。気に入らなかったんだ。
頭を抱え込んで、近くに丸まって寝転びたい気分になる。
「あ、の」
「いいじゃん!俺気に入った!」
謝ろうとした私を遮って、上野くんは満面の笑みを浮かべた。
「え…?」
「この歌詞、まだそのまま使うかどうかはわからないけど、俺はこの曲を作りたい」
動揺して、何も言えない。
本当に…?
本当に言ってくれているんだろうか。
「あ、あ、ありがとうございます…っ」
「だーから、敬語はやめろって言ってんじゃん。まあとにかくそういうことだからあとはメロディー作って、ちょこちょこ歌詞も変えて。
やることは多いからな、ついてこいよ」
呆れるように笑いながら上野くんが私の頭を軽く小突いてそう言った。
なんだってやれるよ。
死に物狂いでついていってみせる。
「は、う、うん。着いていき、や、着いていく、ね、です…」
ああ、調子乗ってちょっとでも敬語を卒業しようとか思ったらこうなるんだから。
やっぱり私は敬語が性に合ってるんだ。
「ははっ、ったくお前は歌のことより、他のことを頑張るべきだな」
落ち込む私を、笑い飛ばしてくれる姿に不思議と私も笑いがこみ上げてきて、この人とだったらなんだってできそうだって思ってしまった。
「うし、ちょっとさこれ自分でなんとなくメロディーラインも思い浮かんでるだろ。歌ってみてくれない」
「ええっ」
「え、本当に詩だけ考えるタイプ?」
「い、いや…」
「じゃあ歌って」
「あの、でも正直まだなんとなくでしか…」
「それでいいから」
きっとこれ以上嫌がったら、怒られる。
時間は限られてるんだ。
そもそもここで歌えないようじゃ、バンドだなんて夢のまた夢だ。
覚悟はもうとっくに決めたじゃないか。
ハミング程度の歌声で、歌い始めた。