キミと歌う恋の歌
レオはそんな風に言ってくれていたのに私は、私はどうしてこんなにダメなんだろう。
そう思うともう抑えられなかった。
「でも、でもダメなんです私。
どうしても彼らと私を比べて卑屈になってしまう。
本当に彼らの横に立ってていいのか不安で苦しくて、うまく歌えないんです。
彼らが認めてくれた私でいなきゃと思えば思うほどにわからなくなって、
でもこんなこと言ったら嫌われるから、嫌われちゃうから言えなくて…っ
それで、もう一旦考え始めたら止まらなくて自己嫌悪とか、他責思考とか、もう自分の全部が嫌で、なんで私は生まれてきたんだろう、生まれてこなきゃよかったのに、」
「落ち着いて、落ち着いて戸田さん。」
気づけば目の前の先生の姿がすりガラスで見たようにぼやけていて、うまく呼吸ができない。
必要ないのにむやみに息を吸い込んで、吐き出すことができない。
酸素が回らず頭が重い。
「大丈夫、ほら息を深く吐いてー、はい吸ってー」
先生が背中をさすりながら穏やかに声をかけてくれて、次第に呼吸は落ち着き始めた。
初めて言葉にしてしまった自分の中に渦巻いていた黒くて汚い感情。
とうとう言ってしまった。
家のことやお金のこと悩ましいことは山積みだったけど、それよりも彼らと付き合っていくうちに芽生えてしまった暗い感情に直面してしまったことが苦しかった。
あの優しい教頭先生もさすがに私に呆れてしまったのではないだろうか。
「戸田さん。
それは誰もが持ってる感情ですよ。
自分を責める必要なんてどこにもない。
誰かを羨むのも嫉妬するのも、自己嫌悪も他責思考も成長していく上で必要な感情です。
恥ずかしく思う必要なんてどこにもない。
あなたが自分を生まれてこなくてよかったなんて思う必要はどこにもないんです。
そして、あなたは自分のことを勘定に入れてなさすぎる。
もっと欲張りでいい、わがままでいいんです。
あなたはまだ子どもなんだから。
衝突したり喧嘩をしたなら仲直りをすればいい、傷つけてしまったなら謝ればいい。
僕から見た上野くんはそんなことで嫌うような人には思えませんよ。
他のメンバーはどうですか?戸田さんから見て」
問われてハッとする。
これまでの1ヶ月バンドメンバーと過ごしてきて頭に浮かぶのは彼らの笑顔だ。
私の調子が悪くなってからも彼らは態度を変えず接してくれた。
初めての友達になってくれたメル
兄貴肌で他のメンバーと変わらず接してくれたタカさん
不機嫌ながらも私が先生やクラスメイトから守ってくれた津神くん
そして私を見つけてくれて居場所をくれたレオ
彼らは私を傷つけたりなんて一回もしなかった。
一緒にいて醜い感情に心を囚われたりもしたけど、でも過ごした瞬間1秒1秒は何にも変え難いほど尊かった。
「レオとメルとタカさんと津神くんはすごく優しいです、」
子どもの感想みたいな私の言葉に先生は声を上げて笑った。
「大丈夫。まだ一日あるじゃないですか。
あなたならきっとやれる。絶対大丈夫です」
力強い言葉に私は鼻を啜りながら大きく頷いた。
許してもらえるかわからない。
でも戻ろう。
そして謝ろう。
本当の気持ちを隠さず話そう。
歌える。
歌うんだ。
私にできることはそれしかないじゃないか。
そう思うともう抑えられなかった。
「でも、でもダメなんです私。
どうしても彼らと私を比べて卑屈になってしまう。
本当に彼らの横に立ってていいのか不安で苦しくて、うまく歌えないんです。
彼らが認めてくれた私でいなきゃと思えば思うほどにわからなくなって、
でもこんなこと言ったら嫌われるから、嫌われちゃうから言えなくて…っ
それで、もう一旦考え始めたら止まらなくて自己嫌悪とか、他責思考とか、もう自分の全部が嫌で、なんで私は生まれてきたんだろう、生まれてこなきゃよかったのに、」
「落ち着いて、落ち着いて戸田さん。」
気づけば目の前の先生の姿がすりガラスで見たようにぼやけていて、うまく呼吸ができない。
必要ないのにむやみに息を吸い込んで、吐き出すことができない。
酸素が回らず頭が重い。
「大丈夫、ほら息を深く吐いてー、はい吸ってー」
先生が背中をさすりながら穏やかに声をかけてくれて、次第に呼吸は落ち着き始めた。
初めて言葉にしてしまった自分の中に渦巻いていた黒くて汚い感情。
とうとう言ってしまった。
家のことやお金のこと悩ましいことは山積みだったけど、それよりも彼らと付き合っていくうちに芽生えてしまった暗い感情に直面してしまったことが苦しかった。
あの優しい教頭先生もさすがに私に呆れてしまったのではないだろうか。
「戸田さん。
それは誰もが持ってる感情ですよ。
自分を責める必要なんてどこにもない。
誰かを羨むのも嫉妬するのも、自己嫌悪も他責思考も成長していく上で必要な感情です。
恥ずかしく思う必要なんてどこにもない。
あなたが自分を生まれてこなくてよかったなんて思う必要はどこにもないんです。
そして、あなたは自分のことを勘定に入れてなさすぎる。
もっと欲張りでいい、わがままでいいんです。
あなたはまだ子どもなんだから。
衝突したり喧嘩をしたなら仲直りをすればいい、傷つけてしまったなら謝ればいい。
僕から見た上野くんはそんなことで嫌うような人には思えませんよ。
他のメンバーはどうですか?戸田さんから見て」
問われてハッとする。
これまでの1ヶ月バンドメンバーと過ごしてきて頭に浮かぶのは彼らの笑顔だ。
私の調子が悪くなってからも彼らは態度を変えず接してくれた。
初めての友達になってくれたメル
兄貴肌で他のメンバーと変わらず接してくれたタカさん
不機嫌ながらも私が先生やクラスメイトから守ってくれた津神くん
そして私を見つけてくれて居場所をくれたレオ
彼らは私を傷つけたりなんて一回もしなかった。
一緒にいて醜い感情に心を囚われたりもしたけど、でも過ごした瞬間1秒1秒は何にも変え難いほど尊かった。
「レオとメルとタカさんと津神くんはすごく優しいです、」
子どもの感想みたいな私の言葉に先生は声を上げて笑った。
「大丈夫。まだ一日あるじゃないですか。
あなたならきっとやれる。絶対大丈夫です」
力強い言葉に私は鼻を啜りながら大きく頷いた。
許してもらえるかわからない。
でも戻ろう。
そして謝ろう。
本当の気持ちを隠さず話そう。
歌える。
歌うんだ。
私にできることはそれしかないじゃないか。