キミと歌う恋の歌
電車を降りてすぐにレオの腕を掴んだ。
驚いて目を丸くしているレオの言葉を待たずに言った。
「早くアイのとこ行こうよ」
「え?」
「早く謝ったほうがいいでしょ。私も着いてったげるから」
「え、でも」
「もう!いいから早く行くよ!タカちゃん先行くからね!」
まだレオは動揺したままの様子だったが、勢いに任せてレオの腕を取り走り出した。
後ろを振りむくと、タカちゃんが大手を振って見送ってくれていて、ソウジはヘッドフォンのせいでそもそも気づいていないのか別の方向を見ていた。
「おい!ちょっとメル!そんな急に行っても何言ったらいいか」
いつもは強情でわがままで我先に何もかも自分で決めてしまうレオが人が変わったようにしおらしくて気味が悪い。
まあ、それだけ反省しているということだろう。
きっとその反省は伝わるはずだ。
「そんなのごめんって言えばいいでしょ!」
たいして考えずにそんな返事をしたところで、昇降口に着き、急いで上靴に履き替える。
もたもた戸惑っているレオに痺れを切らしていたが、覚悟を決めたのかそれから教室に向かうまではレオが先に走った。
そうしてアイのクラスに飛び込んだ。
すでにクラスには半分ほどの生徒が登校してきていて、私たちの剣幕に驚いた顔をしていた。
視線を凝らしてアイの席をとらえた。
だけど、
「アイいないな」
私が口にする前にレオがポツリと言った。
いつも座っている席にアイはいなかった。
トイレにでも行っているんだろうか。
「ちょっと、レオ聞いてみてよ」
「はあ?それくらい自分で聞けよ」
「レオだって気になるでしょ!はやく!」
「ったく」
レオの制服の袖の辺りを引っ張って、近くにいるアイのクラスの子に尋ねるように言うと、レオは呆れたような顔をしながらその子に近づいていった。
「おはよう。ちょっと聞きたいんだけどアイ、あ、戸田ってもう登校してる?」
他所行きのレオの爽やかな笑顔と言葉の調子に尊敬の念を感じながら、私も後ろからじっと見つめる。
話しかけられた女子2人は顔を赤くして動揺したように顔を見合わせた後で、1人が口を開いた。
「たぶんまだ教室には来てないです。バッグもないし、」
「戸田さんがまだ来てないの珍しいよね」
もう1人もアイの机の方を見ながら独り言のように漏らした。
来てないとはっきり言われた瞬間どっと気分が下がった。
翔太さんの話じゃ、怒ってないし頑張るって言ってくれてたらしいのに。
ただ遅れてるだけとかかな。
あ、私たちのメールの返信に考え込んじゃって寝不足だったりして
それだったら申し訳ないな。
「そんな不満そうな顔すんな。遅れてるだけかもしれないだろ」
無意識のうちに唇を尖らせて、アイの席をじっと見ているとレオからおでこを指で弾かれた。
「いった、なによさっきまで死にそうな顔してたくせに」
「うるせえ。とりあえず一旦教室行くか。休み時間にまた来よう」
「…うん」
いつもの調子を取り戻したレオにそう言われて、渋々頷いて体を翻すと、目の前に嫌な相手が立っていた。
「なんだ、まだ来てねーの」
ソウジが無表情で教室を覗き込んで一言そう言った。
「ああ、誰も見てないらしい」
「ふーん、わざわざ走ってご苦労なことだな」
「うるさいバカソウジ!早く行こレオ」
息を吐くように嫌味を言うソウジが憎らしくて、幼稚園児でも言えそうな捨て台詞を残して、レオの腕を引っ張って自分の教室へ向かった。
振り向くと、ソウジは何一つ気にする様子なく大きなあくびをしながら教室の中に入ってて、私の苛立ちはさらに加速した。
驚いて目を丸くしているレオの言葉を待たずに言った。
「早くアイのとこ行こうよ」
「え?」
「早く謝ったほうがいいでしょ。私も着いてったげるから」
「え、でも」
「もう!いいから早く行くよ!タカちゃん先行くからね!」
まだレオは動揺したままの様子だったが、勢いに任せてレオの腕を取り走り出した。
後ろを振りむくと、タカちゃんが大手を振って見送ってくれていて、ソウジはヘッドフォンのせいでそもそも気づいていないのか別の方向を見ていた。
「おい!ちょっとメル!そんな急に行っても何言ったらいいか」
いつもは強情でわがままで我先に何もかも自分で決めてしまうレオが人が変わったようにしおらしくて気味が悪い。
まあ、それだけ反省しているということだろう。
きっとその反省は伝わるはずだ。
「そんなのごめんって言えばいいでしょ!」
たいして考えずにそんな返事をしたところで、昇降口に着き、急いで上靴に履き替える。
もたもた戸惑っているレオに痺れを切らしていたが、覚悟を決めたのかそれから教室に向かうまではレオが先に走った。
そうしてアイのクラスに飛び込んだ。
すでにクラスには半分ほどの生徒が登校してきていて、私たちの剣幕に驚いた顔をしていた。
視線を凝らしてアイの席をとらえた。
だけど、
「アイいないな」
私が口にする前にレオがポツリと言った。
いつも座っている席にアイはいなかった。
トイレにでも行っているんだろうか。
「ちょっと、レオ聞いてみてよ」
「はあ?それくらい自分で聞けよ」
「レオだって気になるでしょ!はやく!」
「ったく」
レオの制服の袖の辺りを引っ張って、近くにいるアイのクラスの子に尋ねるように言うと、レオは呆れたような顔をしながらその子に近づいていった。
「おはよう。ちょっと聞きたいんだけどアイ、あ、戸田ってもう登校してる?」
他所行きのレオの爽やかな笑顔と言葉の調子に尊敬の念を感じながら、私も後ろからじっと見つめる。
話しかけられた女子2人は顔を赤くして動揺したように顔を見合わせた後で、1人が口を開いた。
「たぶんまだ教室には来てないです。バッグもないし、」
「戸田さんがまだ来てないの珍しいよね」
もう1人もアイの机の方を見ながら独り言のように漏らした。
来てないとはっきり言われた瞬間どっと気分が下がった。
翔太さんの話じゃ、怒ってないし頑張るって言ってくれてたらしいのに。
ただ遅れてるだけとかかな。
あ、私たちのメールの返信に考え込んじゃって寝不足だったりして
それだったら申し訳ないな。
「そんな不満そうな顔すんな。遅れてるだけかもしれないだろ」
無意識のうちに唇を尖らせて、アイの席をじっと見ているとレオからおでこを指で弾かれた。
「いった、なによさっきまで死にそうな顔してたくせに」
「うるせえ。とりあえず一旦教室行くか。休み時間にまた来よう」
「…うん」
いつもの調子を取り戻したレオにそう言われて、渋々頷いて体を翻すと、目の前に嫌な相手が立っていた。
「なんだ、まだ来てねーの」
ソウジが無表情で教室を覗き込んで一言そう言った。
「ああ、誰も見てないらしい」
「ふーん、わざわざ走ってご苦労なことだな」
「うるさいバカソウジ!早く行こレオ」
息を吐くように嫌味を言うソウジが憎らしくて、幼稚園児でも言えそうな捨て台詞を残して、レオの腕を引っ張って自分の教室へ向かった。
振り向くと、ソウジは何一つ気にする様子なく大きなあくびをしながら教室の中に入ってて、私の苛立ちはさらに加速した。