ごめんね、好き。

はじまりの夜

私は夜が嫌いだ。

夜になると、思い出したくもないことがどんどん蘇ってくる。
それはだいぶ昔に過ぎ去った出来事なのに、今でも鮮明に。

だから私は、なるべく早くに眠りにつくようにしていた。
大好きなアイドルの歌を聴きながら、何も思い出さないように固く目をつぶって。

そうしていると、だんだん意識が遠のいてくる。
寝返りを打ったら目が覚めてしまうから、なるべく一方向を向いたまま音楽だけに集中する。
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