ごめんね、好き。
その日もいつも通り、ベッドに寝転がってぎゅっと目をつぶっていた。

うとうとし始めた頃、

♪~ピロリン

と、久しぶりに聞いた通知音がなった。
あれ、マナーモードにしてなかったっけな。
そう思ったのもつかの間、
♪~ピロ ピロ ピロ
同じ音が何度もなるから、すっかり目が覚めてしまった。

このメッセージの送り方には覚えがある。

何度もバラバラにメッセージをたくさん送ってくるのは、池谷聖矢だ。

鼓動が少し早くなるのがわかる。
なんでだろ。
疑問に思いながらも暗闇でスマホを開く。

《眠い》
《寝れない》
《助けて》
《明日面接なのに》

ロック画面には、やはり聖矢からの短文メッセが表示されていた。

アプリを開く。
トーク画面を押して返信を打つ。

《私も》
《眠い》
《あららそれは大変》
《私明日模試》

少しして返信がくる。

《あー寝たい》
《模試か》
《だるいな》
《頑張れとか言わないよ》

《模試つらみ》
《彼女と電話すれば?》

彼女、という言葉をうつときに、ほんのり心が痛かった気がした。

《俺も面接つらみ》
《学校決まる》
《彼女いねーよ》
《別れた》


通知センターに表示された最期の一文を見て、今度こそしっかり鼓動が早まる。
< 3 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop