彼の溺愛はわかりづらい。


それに、世永くんはああ言ったけど、別にイチャイチャなんかしてない。
そもそも付き合ってないし。



「大丈夫だよ、安心しな、少年よ。俺には超絶ラブラブな婚約者がいる」

「あ、世永くん、婚約したの!?あの彼女さんと!?」



…だけどなんで、燈は度々、少年って呼ばれるんだ。
もう慣れてそうなんだけど、燈。



「そーそー。この前プロポーズして、めでたくOKもらったよー」

「おめでとう!また会いたいなー、彼女さ…あ、婚約者さん」

「今度連れて来るよ」

「うん!」

「というわけで俺は帰る。じゃあね」



…いや、それだと私、燈と二人っきりになっちゃうんだけど。
いや、うん。元々そのつもりだったはずなんだけど。



「…さよなら」

「…世永くん、ばいばい」



…行かないで、世永くん。
口にだしたら、あらぬ誤解をされるだろうから言えなかったけど。

…でも燈、世永くんが部屋から出て行った途端、こっち向くのはやめてくれ。




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