彼の溺愛はわかりづらい。
「…と、とりあえず課題やるか」
「う、うん」
私がした変な質問のせいで、お互いどこかぎこちないけど、それがちょっと面白かった。
「あ、お茶持ってきたから、さっき」
「おう」
世永くんの嵐が去って、どうしたらいいか、一気にわかんなくなってしまった。
…これ、もしかしたら世永くん来ない方がよかったのかもしれない。なんて、ちょっと酷いか。
「ノート用意しなきゃ…」
「そーだな。…さっきので、時間なくなってきた気がしたし。早く始めるか」
「うん」
実際には10分も経ってないけど、どうやら私たちには数時間くらいに感じたようだ。
…すっごい、色濃い時間だった。
でも、ちゃんと切り替えなきゃ。
「…先に言っとくけど、明日も来るからな」
「日曜日なのに、いいの?」
家族でお出かけとか…しなそうだな、海堂は。
「いいんだよ、そんなの」
「そっか。じゃあ待ってる」
「よろしく」
そんな小さな約束をして、それから私たちは、真面目に勉強をし始めた。