彼の溺愛はわかりづらい。


しぃにはひとつ、言っておきたいことがあった。



「人様の個人情報勝手に教えるとか、どーゆーこと?」

「何の話?」

「海堂に。この前、私ん家来たんだけど、アイツ」

「え、マジで行ったんだ…って、あ」

「やっぱ、しぃなんだ…」



珍しく口を滑らせたしぃがハッとしたように口元を押さえていたけど、もう遅い。

同時に、私は少しだけ落胆した。



「ごめんごめん。でも、海堂はツンデレヘタレだけど、信用には値するヤツだし」

「それは、私もわかってるけど。そういうことじゃないでしょ」

「そういうことなの。私だって、相手は選ぶよ」

「…わかったけど。これからは私にちゃんと言うこと。勝手に個人情報バラさないこと」

「はいはい。琴に説教されるとか珍しー」



そりゃ、普段はしぃにビビってるからね。今日は特別だ。
言った方がいいことは、ちゃんと言わないといけないし。

それより、しぃが素直に返事してくれたことがびっくりすぎて、そっちに全部気を持っていかれそうだよ。
持っていかれないようにしないとだけど。



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