彼の溺愛はわかりづらい。

「…で、そういえば。何を助けてほしいの？」

「動悸がドキドキしてること」

「ダジャレか」

「違う！切実に悩んでんの！」



自分でもちょっとダジャレっぽいなって思ったけど。
人に突っ込まれるのはなんか気に食わない。…って、理不尽か。



「…なんで」

「海堂に会うたびに、心臓壊れそうなんだもん…」

「…いいじゃん、ドキドキしたって」

「いやだ！」

「なんで」



なんでってなんだ。
しぃからしたら完璧に他人事だから、面白いか面白くないかとかで物事を判断してるんだろうなぁ。



「…だって、悔しいじゃん。海堂のこと好きみたいで」

「好きなんじゃん？」

「絶対チガウ」

「まぁ、琴が素直に認めるとは思ってないけどさー」



認めるってなんだ。
それじゃあまるで、私が心の奥ではそう思ってるみたいじゃんか。

言い方には気を付けていただきたい。



「認めるとか認めないとかじゃないの！私には未鶴くんがいるもん！」

「リアルではいないじゃん」

「…それは、そうだけど」