彼の溺愛はわかりづらい。
それとこれとは別問題だ。
二次元でいないから三次元で彼氏作るとか、三次元でいないから二次元で彼氏作るとか、そういう話ではない。
…それに、きっと私みたいなオタクなんて、すぐにフラれるのがオチだ。
なら、誰とも付き合わない方がいい。
まぁ、フラれようがフラれまいが、海堂と付き合う気は微塵もない。
「とにかく。どうでもいいんだよ。カレカノとか。別世界の話でいいの」
「それだと海堂が哀れすぎる」
「しぃが合コンでもセッティングしてあげれば?」
「私は琴にも幸せになってもらいたいんだよ」
…珍しく、ちゃんと親友みたいなこと言うね、しぃ。
「私は充分幸せですー」
そうだ、今のままでも充分、私は満たされてる。
推しを愛して、友達とかともそこそこ話して。
…それでいいじゃん。
そう思うのに、海堂のあの、私を愛おしそうに見る眼差しが忘れられなくて、さっきから私の頭をチラつく。
「そうじゃなくて、もっと幸せになりたいとは思わないの?」
「…えー、別にいいかな…」
「女はもっと求めないとダメだよ」
「何それ」
なんかの名言みたいなんだけど。
しぃ、君はいつからそんなキャラになったんだ。