彼の溺愛はわかりづらい。
「まぁとにかく、カナちゃんに報告しないと」
「いや、なんで」
「カナちゃんと同盟組んでるから、私」
「なんの」
「『海堂と琴を見守る隊』」
「なんじゃそりゃ」
しかも隊って。
隊ってなんだ、歴史に出てきそうなんだけど。
「あの日結成した」
「同盟じゃなかったんかい」
「同盟でもある」
「…そっか」
うん、私から聞いておいてなんだけど、クソどうでもいい。
今重要なのは、そんなことじゃないんだ。
「…琴は恋愛を拒絶しすぎ。合コンだって行かないし」
「うーん、まぁね」
「なんかあんの?」
「いや、なにも?」
「ふーん」
よく、恋愛小説なんかである、過去に悲しい恋愛をして傷を負った女の子――みたいなのではなく、ただただ興味ないし湧かないだけ。
イケメンを見ても、「彼氏にしたい!」とかではなく、「妄想のネタをありがとうございます」っていう感覚しかない。