彼の溺愛はわかりづらい。


拒絶してるつもりは、ないんだけど。
そう見えるんだろうなぁ、しぃには。



「…琴はいつから二次元の住人になったの?私と初めて会ったとき(高1春)には、既にそうなってたよね?」

「んー、いつからだろ。物心ついたときかな」

「適当に言ってるでしょ」

「だって本当に覚えてないんだもん」



いつから好きだったのか。
そんなの全然、覚えてない。

だから、私が言った「物心ついたとき」っていうのは、あながち間違ってないんじゃないかって思う。



「その、今の琴の推し(?)の未鶴くん(?)にはしないの?ドキドキ」

「うーん…」



するといえば、する。
だけど、海堂に対するドキドキとは、根本的な何かが違う気がする。

…もしくは、海堂に対するドキドキが、他とは違うのか。
それがどんな意味をもつのかは、わからないけど。



「微妙?」

「まあまあする。ってか多分、ベクトルが違う」

「そう?」



…だからなんで、そんなにニヤニヤすんの。
自分がなにか、失言したんじゃないかって不安になってくるんだけど。




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