彼の溺愛はわかりづらい。


照れ隠しをするようにそっぽを向く海堂。
…に、キュンときて。


ここまで来たら、認めるしかないのかもしれない。

…私は、海堂のことが好き。多分。


…そんなこと、恥ずかしくて今はまだ言えないけど。
いつか言えるといいな。いや、いつか言うから。

…それまで、私のこと好きだといいな。









「…お兄ちゃん」

「…どーした、琴」

「……好きな人が、できました」

「あぁ、海堂くんのこと?」

「!?」



…お兄ちゃん、なんでこういうところ鋭いの。
兄の勘…みたいなもの?わからん。



「あのねぇ。あんだけ二人のやり取り見てたら、誰だってわかるよ」

「…しぃとかも気づいてるのかな?」

「気づいてるんじゃない?」

「マジっすか」



それもあって、あんなにニヤニヤしてたのか、しぃ。
…教えてくれればよかった…って、あのとき聞いてたとしても、否定してたか。




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