彼の溺愛はわかりづらい。
「いや~、それにしても。琴とマジな恋バナできるなんて。お兄ちゃん感激。今までは二次元とか、妄想の話ばっかりだったもんね」
「う…」
「伝えるなら早く伝える方がいいと思うよ~」
「…お兄ちゃんだって、彼女どころか、好きな人いないくせに」
お兄ちゃんが上から目線っぽいの、なんか違う気がする。
ほぼほぼ同等の立場なのに。
私がそう言っただけなのに、お兄ちゃんは気まずそうに視線を逸らした。
…え、なに。何かある感じ?
「…俺も、好きな人ができました」
「え、社会人2年目にしてやっと?」
「人を好きになるのに、時間なんて関係ないんだよ、琴」
「なに。その、どっかで聞いたことあるようなセリフは」
それに多分、それ、使いどころ間違ってるし。
どこから突っ込んでいいのか、さっぱりわからない。
「相手は?どんな人?」
「…合コンで、会った」
「え、連絡先とか、交換したの?」
「…できなかった」
「ヘタレ」