彼の溺愛はわかりづらい。


「なんかよく知らんけど、頑張れよ」

「サンキュ」

「そして、もしやりたくなったら、絶対バスケやれよ」

「…おう」



それはもちろん。

「めんどい」という理由でやめるほど、俺にとってはどうでもいいものだけど、それでも今まで、ずっとやってきたから。
…やめたらやめたで、物足りなさを感じたりするのかもしれない。


…それに。
俺が自信あるのって言ったら、それしかねぇし。









…どうやら俺は、やればできる人間だったらしく。



「(すげぇ…満点だ…)」



部活を引退してから初めて受けたテストの、返されたばかりの答案用紙を持って静かに震えていた。



「待て、燈。お前、ハイスペックすぎじゃねぇの?」

「…やればできるタイプだったんだな、俺って」



この調子で勉強すれば、二高に受かるのも夢じゃない。


…今までは、授業なんて大して聞いてなかったし、ワークは答え丸写しだったし…とにかくひどかった。

けど、ちゃんとやるようになってよかった。
今まで怠けてた分だって、やってなかったプリントなんかを、教科書見ながら解いて、大体追いついてきたし。

…先生も、超びっくりしてた。




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