彼の溺愛はわかりづらい。
「…わかってっけど」
わかってはいるけど、直しようがない。
…意識してても、見てしまうくらい好きなんだから。
「ほほー。ベタ惚れとみた」
「…そーだけど、わりぃかよ」
「べっつにー?」
…そのニヤニヤした顔を、できるならばグシャっとしてやりたい。
ムカつくわ、志波。
「今度の席替え。仕組んであげようか」
「は?」
「購買の幻のパンとの交換で」
「…は?」
…できんの?
そりゃあ、願ったり叶ったりだけど。
幻のパンとの交換なんて、きっとどうってことない。
「…やる」
「めっちゃ好きなんだね、琴のこと」
「…」
「だんまりは肯定とみた」