彼の溺愛はわかりづらい。
「…好きだよ、ずっと。お前のこと」
「…!」
「ズルいよな、お前って。俺は今まで、何回も言ってんのに」
「う」
でもさ。
人の気持ちなんて、簡単に変わっちゃうじゃん。
同じときに、同じ気持ちでいる…ってことが、いちばん大切だと思うんだけどな。
…まぁ、自分がズルいのは、重々承知してるけど。
「…今日からやっと、お前の彼氏だ…って言える」
「え」
…今のセリフも、心臓に悪い。
多分、海堂は無自覚なんだろうけど。
そうじゃなきゃ、こんな平然としてなんか言うわけない。
だってさっきも、顔真っ赤だったし。
「それに、」
「っ、」
「好きなだけ抱きしめていられる」
「…!」
ほんとにさ。
海堂の正体って、小悪魔とかじゃないのかな。割と真剣に。
また強くなった腕の中に閉じ込められて、少し痛いんだけど平気だ。
むしろ、この痛さも心地いい…なんて言うのは、もちろん恥ずかしい言葉だ…っていう自覚はある。