彼の溺愛はわかりづらい。


でもきっと、本当のこと言ったら、困らせちゃうし。
…自分のせいだから。



「なんでもない」

「…なんでもなくない。俺、そんなに頼りない?」

「違う、けど」



ああもう。
…そんなにシュンとしないで。



「じゃあ、教えて。教えてくれるまで俺、離さないから」

「え!?」



離してほしいわけではないから、別に教えなくてもいいかな…とも思ったけど。

…どうやら本当に離してはくれなさそう。



「…今までの行いを、悔やんでいただけです」

「というと?」

「…信じてもらえないの、寂しくて。自分のせいだけど」



言った途端に激しく後悔。

海堂、やっぱり困ってるし。



「…それはちげぇよ」



じゃあ、なんで。

信じてもらえないんだろう。
さっき困った顔したんだろう。




< 170 / 209 >

この作品をシェア

pagetop