彼の溺愛はわかりづらい。
「…なんだよ」
「補習とか…本当最悪。ってか、アンタとやらなきゃいけないなんて余計憂鬱だわ」
「こっちのセリフだわボケ」
…いや、100パー非はそっちにあるでしょ!
授業中に話しかけてくるとか、一体何の用だよ本当に!後にしろよ!
「…そんなに言うなら、最初から私に話しかけてこなきゃいいじゃん。バカなの?関わらなきゃ、お互い不快な思いしなくて済むのに」
マジでバカなのかコイツは。
その脳味噌は飾りか。飾りなのか。
「…っ。…お前は…不快なのかよ…」
「むしろどこから私が不快じゃないという可能性が1ミリでも考えられたんだ。それこそワケわからんわ」
「…そう、なのかよ」
なんだ、やけにしおらしいな、コイツ。
どうしたんだマジで。山センに怒られて頭おかしくなったか?
…まさかとは思うけど、具合悪いとか!?
「…ねぇ、ちょっとアンタ、大丈夫?なんかいつもと違うけど、もしかして…熱でもあんの?」
「は、え?」
「…心なしか、顔も赤いし。ねぇ、本当大丈夫?」
もう少し顔を覗き込もうとすると、奴はどんどん私から遠ざかっていって…
「いや、見えないから。じっとして」
「いや、ちょ、」
「病人(仮)に拒否権ないから」
これ以上逃げられないように、奴の顔を両手で押さえてからもう一度顔を覗き込む。