彼の溺愛はわかりづらい。







…そして今では、自他共に認める「犬猿の仲」と化した。



「…あんたが、私を嫌ってるから……だと思う」

「は?」



…「は?」って何だ。
質問に答えただけなんだけど。



「待って、お前今何つった?」

「あんたが私を嫌ってるから」

「…俺がいつお前を嫌った?」



3カ月前の衝撃的すぎる出会いを覚えてないなんて、やっぱりコイツの脳味噌は腐ってるんだと思う。…そういえば味噌って腐るのかな。



「初対面から『最悪』とか言ってきたのそっちでしょ」

「…は?……。……あぁ、」

「やっと思い出したんだ」



多分こっちは一瞬たりとも忘れることはないだろうけど。

言われた方は結構覚えてるもんなんだよ。



「…いや、あれは」

「なに」

「嫌いだから最悪とかじゃなくて、」

「…じゃあなに、ほんと」

「…言えねぇ」

「は!?」



ここまできて、その回答はナシでしょ。ナシ寄りのナシでしょ。



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