彼の溺愛はわかりづらい。


はーちゃん先生、何言ってんの?…というような目ではーちゃん先生を見ると、「じゃあ確認してみろ」というように、彼は顎でクイッと海堂の方を指した。


…あ、拗ねてるかどうかはよくわかんないけど、確かになんか挙動不審だ。それは私でもわかった。



「え、海堂、もしかしてマジで拗ねてんの?」

「べ、別に拗ねてなんかねーし!自惚れんなよ!」



…あ、これ黒だ。
海堂、結構わかりやすいから、これは間違いなく黒だ。隣ではーちゃん先生も必死に笑いを噛み殺してるし。

…でも、ソイツが拗ねる理由がわからない。
…だから、はーちゃん先生に「気づかない渋川の方に驚き」なんて言われるのか…?



「自惚れてはねーよ。念のための確認」

「…なんの『念のため』だよ」

「さぁ?その空っぽの脳味噌で考えれば?」

「はぁ~?」



ま、特に答えなんか用意してないけどね。
せーぜー悩め海堂。

私が鼻で笑うと珍しく海堂はそれに気づき、「…なに?」って、元々の顔がわからなくなるくらい、めちゃくちゃ眉間に皺寄せて聞いてきたから、「んーん」とだけ答えておいた。

…まぁ、もちろんのこと納得いかないような顔してたけど。




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