彼の溺愛はわかりづらい。
▼天敵ヤローと夏休み
夏休みも目前である、7月中旬。
私は、密かに譲れない想いを抱えていた。
「では、これから諸々を決めていきまーす」
LHRの時間。
学級委員が黒板に書いた文字は……
体育祭について
書かれた文字を再度見て、私はゴクリと唾を飲み込んだ。
「…まぁ、諸々なんて言っても、まずは実行委員を決めてーっていうお達しなので、実行委員を決めまーす」
口調だけ聞いたなら真面目な人柄が想像されるが、学級委員とは、何を隠そうしぃである。
あ、ちなみに、誰もやる人いなかったからクジ引きで決まったんだけど。
ってか「お達し」って。いつの時代だ。
「実行委員は男女1名ずつでーす。やりたい人ー」
やりたくない、絶対やりたくない。これは譲れない。
だけど、誰も手を挙げる人なんていない。
…そりゃそーですよねー、学級委員のときもそうだったし。
「…チッ、めんどくせーな」
…しぃ、今の呟き、他の人には聞こえてなかったみたいだけど、私にはバッチリ聞こえてたからね。