彼の溺愛はわかりづらい。


それから十分あまり経ったけど、一向に何も決まらない。

気持ち悪いくらい息ピッタリの返事をしたクラスメイトたちが話し合っても、みんな色々と理由をつけてやりたがろうとはしない。

ちなみに私は、「田舎のおばあちゃん家行くから無理」と言った。
行くのは本当だし、噓ではない。ずっと行ってるわけではないけど。


…というか、もうジャンケンで決めればいいんじゃね?

そう言おうかとも思ったけど、私にもリスクがあるし、やめた。



「…もー決まんないから、私が勝手に決めるわ」



イライラしてきたしぃが、決定的な一言を投下した。

みんなはものすごく慌ててるけど、しぃを怒らせたら怖いのはわかってるらしく、誰も反論しようとはしない。



「今日は14日だから、14番の海堂、あんたに決まり」

「…はぁ~?」



ざまぁ海堂。
そしてしぃ、よくやった!

…という心の声は漏らさないように、私は心の中でガッツポーズをした。



「で、女子なんだけどー」

「はい!私やる!」

「いや、私がやるよ、志波さん!」



…なるほど、しぃ、策士だな。

女子人気が高い海堂をとりあえず実行委員にすれば、女子の方はザクザク釣れるってワケだ。(←さすがにこの言い方はどうかとも思ったけど)

しぃ、恐ろしい女だよ、君は。



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