彼の溺愛はわかりづらい。
海堂が実行委員に(強制的に)決まったことで、只今しぃに詰め寄る女子殺到中。
しぃ、おつかれ。
隣の海堂は、既にげんなりしてる。
…ウケるけど、少し哀れだな。
ちょっとエールくらい送ってやろう。
ドンマイ。以上。
「ねー、海堂、あんたが決めなよー」
しぃ、丸投げっすか。丸投げっすか。
ま、めんどいしね。ものすごくしぃらしいよ。
「は?そもそも俺はやらねぇし」
「……海堂」
「なんだよ」
しぃ、怒るのか!?怒るのか!?
…と、思ったけど、しぃはなぜかそのまま、私の隣に来て、「先に謝っとく、ごめん」とだけ言って、海堂にコソコソなにか耳打ちした。
途端に海堂は顔を赤くして、「ばっ…志波、それぜってー誰にも言うなよ!」なんて言ってる。
…何言ったんだ、しぃ。
「…わかった、じゃあ俺やる」
「で、海堂。女子あんたが決めていーよ」
は、え、マジ?
…嫌がらせっていう名目で、私が指名されたり…しないよね、しないでね。
「じゃ、渋川で」
「はぁ~?」
「あぁ、こーゆーの死亡フラグっていうんだっけ…」なーんて思いながら、私の叫び声が教室に木霊したのだった…。