彼の溺愛はわかりづらい。
「もしもーし」
『おー、琴ー。やっほー。どした?』
電話をかけてなんと2コールで出たカナさん。さすがっす。
「突然だけど、今から会いませんか?」
『え、噓?行く行く。どこ?』
「敬語ナシ」って言われたけど、どうしてもなかなか抜けないから、カナさんは最近、「それでもいいよ」って言ってくれた。ありがたい。
「最初に私たちが会ったファミレスですー。窓際の席に座ってるんで…。…で、今一緒にいる友達が会いたいって言ってるんですけど、いいですか?」
『え、もっちろんだよ!OKOK!楽しみにしてるって伝えといて!』
「はい。じゃあ、気をつけて来てください」
『5分で行くねー』
――プツッ
電話越しでもやっぱり結構騒がしいカナさんだから、どうやらしぃにも丸聞こえだったらしい。「5分か…」なんてぼやいてる。
「…なんか、琴に聞いてたまんまだね!」
「どんな人想像してたの…」
「なんか、ラスボス感のある人」
「…そっか」
…ラスボス感って…とも思ったけど、しぃ相手だから、敢えて何もツッコまないでおこうと思い、私はそれ以上何も言わなかった。