彼の溺愛はわかりづらい。







カナさんは宣言通り、きっかり5分後にやってきた。



「おまたせー!お、君が琴の友達?」

「はい。志波栞です!よろしくお願いします!趣味は海堂をからかうことです!彼氏持ちなんで合コンは行きません!」

「あっはは、面白い子だね!私はカナ。まぁ苗字は…その…内緒!ってことで。栞も、タメ口でいいよ~」

「あ、じゃあよろしく、カナ」

「おー、よろしく」



え、なに?

思ったよりめちゃめちゃ気が合うらしい二人は、早速何やら話を始めた。



「海堂の拗らせ具合が酷くて~」

「ま、でも…琴もかなり鈍いからなぁ…」

「え、悪口?」

「「まっさか~」」



…ならいいけどさ。

ヘラヘラしながらの否定だから、イマイチ信用できんのだよ、二人。









「…ダメだ、ぜんっぜん話についていけない…」



あれから二人の会話をずっと聞いてるけど、何にもわからない。

異次元の話をしてるんじゃないかって思う。




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