彼の溺愛はわかりづらい。
――ピロン
「あれ?誰の?」
「あ、私だ。ごめん」
こんなときに鳴ったのは私のスマホ。
タイミングいいんだか悪いんだか。
…まぁでも、もしあの二人を残していったとしても、多分大丈夫そう。
とりあえず、スマホの画面を確認する。
【朋:明日、世永が来るけど、琴も会う?】
「え…!世永(よなが)くん来るんだ…!」
世永くんとは、お兄ちゃんの友達で、私の三次元での初恋の人。
今はもう恋心として好きではないけど…それでも、ライクの意味ではものすごく好きな人。
私は素早く返事を打った。
【もちろん!会いたい!会わせて!】
【わかったよ。世永も楽しみにしてるってさ】
恐らく画面を見ていたんだろう。
お兄ちゃんからは、すぐに返事がきた。
「…琴、世永くんって誰?」
私のウキウキに反応したのは、さっきまで何かを語るのに白熱していた二人。
なーんでこんなとこは聞いてんのかな……。
「…お兄ちゃんの友達」
「ほほぅ…」