彼の溺愛はわかりづらい。
…ほら、余計怒ってるし。
だけど、
「ごめんなさい。確かにあなたの言う通りかもしれない」
…あ、マジ?
意外にも、リーダー格のギャルは素直に謝っていた。
…だけどどうにも、ウラがあるように感じてしまう俺は、やはり捻くれているんだろう。
「謝る相手が違うと思います」
「…あ、そっか。そこのイケメンも、さっきはあんなこと言ってごめんなさい。彼女さんとお幸せにね」
「いえ、気にしてないです」
まぁ、一ミリも気にしてなかったかって聞かれたら、違うけど。
まぁいっか。
「あの、一つ訂正いいですか」
「え、何?」
…え、本当になに?訂正って。
「彼女じゃないです」
「は?」
何勝手に訂正とかしてんだよ。
…少しだけカップル気分を味わってたのに。
「別に、コイツと私、付き合ってるわけでもないです」
「あ、そーなの。じゃあ、そこのイケメン、私と連絡先交換して」
「ごめんなさい、それはできません」
営業スマイルを貼り付けて、間髪入れずに俺は言った。
…冗談じゃねぇよ。