彼の溺愛はわかりづらい。


「あんたは?どっか寄りたいとことかある?」

「いや、俺は大丈夫。渋川の行きたいところ付き合う」

「…それは、ありがとう」



そう言った渋川の横顔が、少し照れてるようにも見えた。

…俺の勘違いじゃなければいいけど。









「うお…やっぱゲーセンって、音デカいな」



思い切って入ってみたゲーセンの印象は、やっぱり「音デカい」「耳割れそう」とか、そういうのばっかりで。

だけど、今回だけは逃げるわけにはいかない。



「うん。…やっぱやめとく?」

「や、大丈夫」



心配そうに顔を歪ませた渋川に嬉しくなって、本当はすぐにでも甘えたかったけど、グッと我慢した。

偉い、俺。
そう自分を褒めてやりたい。



「…そう?無理してるようなら、別の場所にするけど」

「大丈夫だって言ってんだろ。そんなにヤワじゃねぇよ」



俺が堪えたのにさらに畳みかけてくるコイツは、相当タチ悪い奴だと思う。

…そろそろ、爆発しそうなんですけど、色々。




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