彼の溺愛はわかりづらい。
「…そ、ダメんなったら、言って」
「心配しすぎ」
過剰に心配してくる渋川がなんだか愛しく思えて、俺は無意識のうちに、渋川の頭を撫でていた。
…やっば、殺される。
そう思ったけど、渋川は照れた様子を見せて、そのまま黙ってしまった。
…かと思いきや、いきなり走り出して、ぬいぐるみストラップが入った機械の前に行ってしまったから、正直めっちゃビビった。
その上、渋川は早速お金を入れて、一発でストラップを取った。普通にすげぇ。
「取れた~!」
「お前、すげーな」
「よく来てるからね!」
心底嬉しそうに、渋川はさっき取ったらしいストラップを俺に見せてきた。
…アニメだか何だかの、男キャラのぬいぐるみストラップ。
…情けないことに、俺はそんなもの(と言うのは失礼だけど)にまで嫉妬してしまった。
「…もしかして、それのためにここに来たとか?」
「おっ、なかなか鋭いね、海堂」
…本当はそんなの、気づきたくなかったけどな。
ずっと見てるから、わかっちゃうんだよ。知りたくないことでも。