彼の溺愛はわかりづらい。
「なんだよ」
「いーや。…ふふ。ふへへ」
「キモい。普通にキモい」
…噓だ。可愛いに決まってんじゃん。
なんてな。言えるはずねぇ。
…俺はヘタレだから。
そのくせ、話しかけても嫌われるようなことしか言えねぇ。
好きな子いじめとか、小学生かよ。
「ね、海堂」
「…なんだよ」
渋川のことは大抵なんでもわかってるつもりだけど、さっきからなんで笑ってんのかはさっぱりわかんねぇ。どんだけ見ても。
「アイス、食べに行こっか」
「は?もう?」
「ん、もう」
…マジか。
そんなに腹減ってねぇんだけど。
つーかここ、慣れてきたからクーラー気持ちいいだけになったし。
「…もう少し、室内にいないか?」
「え、なに?暑いの嫌なの?」
「当たり前だろ」
そもそも、暑いの好きな奴なんていんのか?
…いるとしたら、相当なMだと思うんだけど。
「そんな海堂くんに、とてもいいものを与えようではないか」
「…なんだよ」