彼の溺愛はわかりづらい。


「なぁるほどねぇ~…。うーん…。ふっふっふ~」

「…お兄ちゃん、どーしたの?」

「いや?面白いことになってきたな~って」



ニヤニヤニヤニヤ、悪そうな笑みを浮かべるお兄ちゃん。
…私の(推しである)未鶴くんも、こういう表情、かっこいいんだろうなぁ…。

…って、今はそこじゃなくてさ。



「…なんだかよくわかんないけど、お兄ちゃんこそどうなの?彼女さんとは?」

「…あぁ、別れた」



ちょっと遠い目をするお兄ちゃん。

決してケロッとしてるわけではない。もう、何かの悟りでも開いたみたいな。



「は、また?」

「そう、また。しかも同じ理由」

「え、またフラれたの?」

「好きだったんだけどなぁ…。それなりに」

「うっわ、そりゃあフラれるわ」



お兄ちゃんは大体、「すっごくいい友達」か「高嶺の花」ポジションにいる。

大体、別れるときはお兄ちゃんがフラれて(顔はいいのに)、しかも、理由はいつも同じで「友達のときとの違いが感じられない」だそうだ。




< 88 / 209 >

この作品をシェア

pagetop