彼の溺愛はわかりづらい。
…とりあえずしぃ、今度会ったら軽く文句言ってやるからな。
「で、何しに来たの?」
「……課題?」
「何故に疑問形」
「いや、なんとなく?」
だからなんでそれも疑問形なんだ、海堂よ。
…さっきから質問してるのはこっちだ。
「…教えてください」
「いや、俺が教えてもらうつもりで来たんだけど…」
「嫌味か?」
「ちげーよ。作文の書き方教えて。好きじゃねぇから。そしたら他は教えるから」
「頼む」
しぃの薄情者は、この夏は枯死(訳:彼氏)とエンジョイするらしい。
「課題くらい自分でやれや」って言われた。正論すぎて何も言い返せなかった。
「…待って琴、俺が教えるよ?」
「お兄ちゃんの説明わかりづらいからパス」
前に教えてもらったら、自分でやった方がよかった。
なんで頭すごくいいくせに、教えるの壊滅的に下手なんだろうって本気で思った。