彼の溺愛はわかりづらい。
お兄ちゃんは安心したような顔になったし、海堂は…顔赤い。くっそ、可愛いなコノヤロー。
「彼氏ではないんだよね?好きな人でもないんだよね!」
喜々として聞いてくるお兄ちゃん。
…うん、そうだけど。そうだけどさ。間違いないんだけどさ。
「…お兄ちゃん、一応当たってるけど、もし仮にコイツのことを私が好きだったとして、本人の前じゃ言わないからね」
「あ、だよね…。ごめん…」
「そーだね」
お兄ちゃんはやっぱり、意外とバカだ。
「…行こ、海堂」
「え、どこに?」
「私の部屋。お兄ちゃんの相手してたらめんどいし。クーラーもちゃんとあるから、暑がりの海堂でも多分大丈夫だよ」
「サンキュ」
「ほいほい」
海堂相手だから…というわけではないけど、適当に返事をして。
私と海堂はそのまま、二階にある私の部屋に向かった。
…ちょうど片付いててよかった。汚い部屋見せたりしたら、絶対にバカにされる。
「…」
「なに?」
「あ、いや…」
何か言いたげな海堂。
…言いたいことがあるんなら、はっきり言ってくれ。これでも汚いのか。