99%アンドロイド
0.プロローグ
地響きのような音で目が覚めた。
目の前にはオレンジ色に染まる空が広がっており、両耳からは草と草がこすれ合う音が聞こえてくる。
___ここは…
体を起こそうとすると、まるで何年もの間固まっていたかのように節々が曲がらず、自分でも驚いてしまった。
これじゃあ、まるでサビれたロボットじゃないか…
なんとか体を起こすと、突然強い風が吹いてきて、思わず目を瞑った。
恐る恐る目を開けると、そこにあったのは延々と続く麦畑だった。
強い風にあおられて、いくつもの波をつくる麦畑は、空までも動かしているように見えた。
オレンジ色に染まる空は、まるで大地に動かされているかのように、雲の流れが速かった。
___どこかで、見たことがある。
ふと、そう思っている自分に気づいた。
けれど、それがいつなのか、そもそもここがどこなのか、全く思い出すことができない。
ただの「1枚の絵」としてしか記憶に刻まれていないこの光景。
なのに、こんなにも懐かしい気持ちになるのはなぜなのだろう。