99%アンドロイド
でも、ハカセは自分の研究を「ホコリ」に思っていると言っていた。
この「ホコリ」は掃除をするとたくさんとれる「ホコリ」とは別の、もっといい意味の言葉らしい。
人生の全てを注ぎ込んでも構わない。
そうとも話していた。
そしてボク、アンドロイドの「A」は、そんなハカセの研究における唯一の「ケッサク」らしい。
「ケッサク」という言葉もよく分からないけど「ホコリ」と一緒で、とても良い意味の言葉だとハカセは教えてくれた。
ボクは数百回の失敗を重ねてようやく生み出すことができた「ガクシュウするアンドロイド」だそうだ。
だからハカセはボクにいろんな言葉を覚えさせ、ニンゲンの生活に馴染ませようとしているらしい。
「A、今日はやることはないのか?」
椅子の背もたれに寄りかかりながら、ハカセは聞いてきた。
「ハイ、トラのブラッシングも終ワリマシタシ、洗濯物も干シマシタ。もしハカセを手伝う必要がナケレバ、メモリの整理をシヨウカト…」
「なるほどな」
ハカセは席から立ち上がると、無精髭が生えた自分の顎を触りながらまじまじとボクのカラダを見た。
「…バッテリーのもちはどうだ?」
「起床時カラ今マデで36%減少。先月に比ベルと、減少速度が約2割ホド上がってマス」
「うむ、そしたら俺も久々に手が空いているから、今からお前のバッテリー交換でもするか!」
「アリガトウゴザイマス」
先に修理室に向かい、新しいバッテリーを用意しておくよう言われたため、ボクはそのままハカセの元を後にした。
バッテリーの交換をしてもらうことは、ボクたちアンドロイドにとってはとても有難いことだ。
だけど___
「……ワタシヲミツケテ」
ボクには、ハカセにもっとどうにかしてほしい部分があった。