99%アンドロイド
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修理台の上に座って20分ほど待っていると、ようやくハカセが中に入ってきた。
「待たせたね、A」
「いいえ、ソンナコトはアリマセン」
アンドロイドに「タイクツ」という感覚はない。
だからきっと、ハカセが1年待たせたとしても、ボクは絶対に「タイクツ」することはないし、「イラダチ」を覚えることもない。
ハカセによると、ニンゲンには「カンセイ」が備わっているから、待たされれば「タイクツ」するし、それにより「イラダチ」を覚えることがあるそうだ。
ハカセも若い頃、付き合っていた女性とのデートに寝坊し、物の見事に彼女を「タイクツ」させ、「イラダチ」を覚えさせたことがあるらしい。
「女は面倒くさい生き物だよ、A」
ハカセはいつもそう言うけど、57日前に読んだ本によると、男の方も「ハンセイ」しない生き物らしい。
「ハンセイ」がどういう意味なのかボクには分からないけど、ハカセに聞くと「そんなことはない!」といつも言い張る。
ちなみに猫は凶暴な生き物だ。
「新しいバッテリーは用意したか?」
「ハイ、ここにアリマス」
ボクは右脇に置いてあるバッテリーを持つと、それをハカセに差し出した。
「ヨロシクオネガイシマス」
「おう、任せとけ」
ハカセはバッテリーを受け取ると、白衣のポケットから老眼鏡を取り出した。
近頃はこれがないと修理が難しいらしい。