99%アンドロイド
『一緒に行きませんか?』
突然隣から声が聞こえてきたため振り向くと、そこには白いワンピースを身にまとった少女が立っていた。
肩くらいの長さの茶色くて柔らかい髪をなびかせながら、こちらを見下ろして微笑んでいる。
さっきまで誰もいなかったはずなのに、この少女は一体どこから来たんだ…
『…どこへ?』
そう聞くと、彼女はさっきまで僕が見ていた方角をまっすぐ指差した。
『風が向かっていく方へ』
確かに風は、僕たちの後ろから前へと向かっていく追い風だ。
雲も同じ方向に流れている。
僕はもう一度風が向かっていく方向を見た。
そこには麦畑と空を隔てる一直線の地平線しかなく、少し怖い気もした。
『…向こうには何かあるのか?』
少女に尋ねると、彼女は微笑みながら「それは分からない」と言った。
『でも、歩いていけばきっと何かがあるはずだわ』
少女の目は黄金色に輝いていた。
延々と広がる麦畑が、その中に広がっているのだと思った。