99%アンドロイド
床に寝そべりながら、トラはクッキーにがりがりと噛りついている。
猫の顎の力では一気に噛むことができない硬さに焼いてあるため、必然的に食べるスピードが遅くなるようになっている。
「スローフードがイイミタイデスヨ、トラ」
ボクがそう声をかけるも、トラは食べるのに夢中で全くミミを貸さない。
これ以上干渉してもトラが無視し続ける可能性は98%と高かったので、ボクはさっきまで取り組んでいた記憶メモリの整理を再開することにした。
___hyakubun wa ikken ni sikazu.
___ryouyaku kuchini nigashi.
___kawaiiko wa orenomono.
ハカセが教えてくれたいろいろな言葉のデータが、ボクのニンゲンでいう「ノウ」の中を高速で流れていく。
「ベンキョウ」をしたと同時にだいたいのデータは保存されるべき場所に保存されているのだけど、たまに不具合でおかしな場所に保存されたり、データが二重に存在していたりすることがある。
だからボクは週に一回、自分のメモリを見直し、そういったことがないかチェックをすることにしている。
この作業は通常32分で終わるけど、トラの邪魔次第では5時間に及ぶこともある。