99%アンドロイド
今日はトラにほうれん草クッキーをあげただけだったため、12分ロスの44分で完了した。
トラの方を見ると、ちょうどクッキーを食べ終えたところのようだ。
ヒゲにクッキーのかすがついていて、今日の朝食で見たハカセの顔と条件が似ていた。
「美味シカッタデスカ、トラ」
ボクが声をかけても、やはりトラは答えない。
しばらくボクのニンゲンでいう「カオ」を睨みつけてから、さっさと向こうへ行ってしまった。
やっぱりボクは嫌われているようだ。
記憶メモリの整理のせいで熱くなってしまったバッテリーを休ませるために、ボクはソファに移動し、そこにもたれかかった。
これもハカセがよくやる体勢だ。
ケンコウコツの裏側にあるバッテリーの温度が、少しずつではあるが下がっていく。
バッテリーを休ませたいから、人工知能を使用することは極力避けたいけど、ある一つのことをボクは考えざるを得ない状態にあった。
『私を見つけて』
「……今日も、ナカッタ」
実を言うと___
あの夢に関するデータが、ボクの中に一片も見つからないのだ。
それに、「ボクハキミダ」という謎の声のデータも。